リズム隊お誕生日記念

−ありがとうの気持ち−


「あー、やっぱり松岡の料理は上手いな〜。」
今、何故か俺、松岡昌宏は目の前にいる山口達也に夕飯を作っている。
それは数日前のこと・・・・



「なぁ、松岡」
楽屋で兄ぃが寝転びながら話しかけてきた。
「何?兄ぃ」
俺は読んでいた雑誌から目を離し、兄ぃのほうを向いた。
「あのさぁ、俺松岡の料理食いたいな。最近食べてないからさ。」
兄ぃはめったにそんなことを言わないので少し俺は驚いた。
「どしたの?いきなり」
「いやぁ、誕生日に松岡の料理が食べたいなって思っただけだよ。」
「はぁ・・・じゃあ兄ぃは何が食べたいの?」
俺は仕方がないので了承することにした。




ピーンポーン
俺の部屋のベルが軽快に鳴った。
「はーい」
俺が玄関用の受話器を取ると
「松岡の料理食べに来たぞー」
という兄ぃの元気な声が聞こえてきた。
鍵を開けると
「これ、お土産。一緒に飲もうぜ!」
差し出されたのは一升瓶のお酒。
「兄ぃまさか一日でこれ全部じゃないよね?」
恐る恐る聞いてみた。
「あれ?足りなかった?じゃあもう一本買ってこようか?」
呆れた答えが返ってきた。
「いや、そうじゃなくて多いんじゃない?って話。まぁ、とりあえず家に入りなよ。」
「じゃお言葉に甘えて、おじゃましまーす。」
この人は何でいつもこうなんだろうか。



「松岡ぁ、今日は何食わしてくれんの?」
「兄ぃが好きなもんにしようかと思って俺特製のカレーだけど?」
「松岡のカレーは美味いからな。ライブん時いつも楽しみなんだよな。」
メンバーに言われると何だか嬉しくなる。だから凝るのをやめられないというのもある。
「ま、いつも徹夜して作ってるからね。」
「そういうところが松岡らしいよな。」
兄ぃはこういう事をさらっと言うから普段照れない俺だって照れる。
「あなたはすぐそうやって軽く言っちゃうんだからな。」
照れた俺はぼそっと呟いた。


「あにぃ!出来たよ。」
くつろいでいた兄ぃに声をかけた。
「んあ!おう飯だー!」
こういうときの反応は早い。
「はい、兄ぃの大盛り。」
「おう、ありがとな。」
そう言って兄ぃは満面の笑みを俺に返す。
「「いっただっきまーす」」



「うん、やっぱり松岡の料理は美味いな!ごちそーさん!」
「兄ぃはやっぱりよく食べるね。作りがいがあるよ。」
やっぱり作り側の俺としては食べてくれる方が嬉しいのは本音だが。
「さぁ、酒でも飲みますか!」
「え!!今食べ終わったばっかじゃんよ。」
「悪ぃかよー。松岡も飲むよな?」
こういう時に笑顔で軽く脅してくる兄ぃが怖い。
「はいはい、グラスと酒ね。」
「松岡さんきゅ!」


「「乾杯!」」
「(ごくごく)あ〜、やっぱ酒はいいな。」
いつ見てもいい飲みっぷり。
「そういや何でいきなり俺の料理が食べたいだなんて言ったの?」
「だって、俺誕生日じゃん」
俺だって一日違いだっつーの。
声に出さない心の叫び。
「で、次の日は松岡だろ?」
なんだ、覚えていてくれてんじゃん。
「だから、これ持ってきたんだ」
そういって自分の荷物から一つの包みを取り出して俺に渡してきた。
「お誕生日おめでとう」
俺は急なことすぎて唖然とするしかなかった。
「なんだよ、いらないのか?」
「いや、そんなことないよ、ただ急に渡されるとは思ってなかったから。兄ぃありがとう。」
「そっか。折角なんだし開けてみろよ。松岡が気に入ってくれればいいんだけど・・・。」
「じゃ、開けるよ。」
ガサガサ・・・
入っていたのは俺が前から欲しかった紫のドラムスティック。
前までは使っていたのだが最近は使わなくなっていたのだ。
「え、これ・・・」
ただただ驚くしかなかった。
「なんだよ、嬉しくないのか?」
「ち、違うよ。嬉しくて・・・なんと言うか、ありがと」
「喜んでくれたならいいや。」
そういってまた酒をあおる。



『兄ぃ、本当にありがとう』
俺は本当に心から感謝した。
そのプレゼントは今も使わずに大切に飾ってある。










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お祭に参加した作品です。

今回は松岡視点で書いてみました。
最初の予定では達ちゃん視点で全然別のお話だったのですが。
なんかいつも考えていたものと違ってしまうんですよね。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

改めて達ちゃん&松岡誕生日おめでとう!